シナリオの概要

探索者たちの家に、ある日チョコレートとGOLDEN THICKETが届く。どうやらこの近くでできて間もない工場見学の招待らしい。

工場に入ると門は固く閉ざされてしまう。工場では全く同じ顔の小人たちが働いていたり、奇妙なガムの球体が飛び回ったりしていた。

はたして探索者たちはこの工場で死の饗宴が始まるまでに脱出できるのだろうか? 

※有名な映画、チャーリーとチョコレート工場をシナリオフックにしています。

 

このシナリオは導入工場で合流→工場探索(宮殿、A棟、B棟)塔の探索敵を倒して脱出する、というのが大まかな流れです。

朝10時に探索が開始し、夜の12時になるか、脱出すると終了する。朝の6時までに探索が終わらないと、礼拝室にミ=ゴが訪れる。

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登場人物

風間光 30 エンジニア  

元公務員技術職。工場の調査を行っていたが経営に疑問を抱き、単身その懐に潜り込んでいた。

正義感が強くしっかり者。オカルト知識を蓄えながらもその存在を頭の片隅で否定し続けている。

西藤谷凛 26 パティシエ

気弱なパティシエ。学生時代からフェアトレードに興味を示し、パティシエとして修行しながら活動を行う。彼女の技術を利用せんとする魔術師にさらわれる。

魔術師 ??

身体的コンプレックスから魔術に傾倒しミ=ゴに奉仕していた。MPの高い風間に目をつけ、自分に協力させる。

工場は被雇用者や訪れたものを捕まえミ=ゴに差し出すために彼が作ったものだ。

 詳細はこちら

画像・地図一覧

ギミック一覧

1.おいしいおかし

探索者が工場内のA,B棟の中で空腹に陥ると数時間ごとにPOWC(POW*5で判定)が発生する。これに失敗した探索者は工場にあるお菓子が食べたくて仕方がなくなる。

探索者がお菓子を食べた場合、pot 1d10程度の意識不明に陥る劇薬を服毒したことになる。potとCON対抗を行い、失敗すると即座に意識を失う(1d3時間)。ファンブルするとHP-1d3。

他の探索者が組み付きか精神分析に成功すると食べる前に正気に戻る。また、応急手当・医学に成功すると、意識不明の探索者の目を覚ますことが出来る。

2.ブルーマロウティ

正しい手順でブルーマロウティを飲んだ探索者にはおかしの誘惑に対する耐性が一時的に発生しする。

A.POWCが一回発生しない もしくは

B.以降POWCに+15程度の補正を付ける

(詳細は部屋一覧A棟応接室を参照)

3.チョコレート

自宅に届いたチョコレートを食した探索者は、空腹か否かに関わらず一定時間ごとにPOWCが発生する。

建物と部屋

工場に入ると、二つの灰色の建物(A棟とB棟)とチョコレートの宮殿がある。工場到着後はこの敷地内から出ることは出来ない。工場の敷地は高い壁と侵入者防止の措置が取られている。

どうしても外に出ようと擦る場合はミ=ゴによって作られた小人に警告させたり、襲わせたりしてもいいだろう。

それでもやめないなら、ここでそのPCはシナリオから離脱し、帰宅するか、脳を集めに来たミ=ゴに襲われる。



導入

探索者が帰宅し郵便を確認すると、見慣れない封筒に入った定形外郵便を見つける。中を確認するとGOLDEN THICKETとかかれた金色のチケットと、板チョコが一つ、折りたたまれた紙が一枚見つかる。

ここでは、紙、チョコレート、調べものの三つから情報が得られる。

 

【紙の内容】

おめでとうございます、わがウィルバー社の工場のオープン前見学の抽選に当たりましたので、ご招待いたします。

当社の事業の詳細については下記URLをご参照ください

http://~~

集合時間 2月10日10時 ウィルバー社日本第一工場前

[地図]

※紙の裏※(目星/RP)

チョコレートにはまったくもって意味がない。意味がないからこそのチョコレートなのだ。

ぼうや、気を付けて。お菓子を食べ過ぎると虫歯になってしまうよ。

 

 【チョコレート】

大きなミルクチョコレートは中にキャラメルが入っているもので、パッケージにはありきたりな煽り文句が書かれていた。また、消費期限は2月10日と書かれている。  

探索者はウィルバー社製で日本でもポピュラーなものだということがわかる。

※包みを開けて調べる等した場合※

とても甘い匂いがする。どうしようもなく食欲をそそる匂いだ。自分がいま空腹なら、迷うことなくかぶりついていただろう。

*アイデア→なんだか嫌な感じがする

 

 

 

【調べる】

探索者は寝る前、または起床してからウィルバー社や工場について調べることができる。調べる際は以下のデバイスから一つを選ぶ。選んだデバイスにより入手できる情報が違う。

 

※PC(コンピューター、図書館)

若いパティシエの女性が行方不明に
フェア・トレードを考える
という記事が見つかる。
内容は都内で一人暮らしの女性が誘拐されたということ、その女性がフェアトレードの活動をしていたことが書かれていた。
※テレビ(図書館)
戦後から今を築くウィルバー社、菓子メーカーの貧困への取り組み
創業57年の製菓会社で、日本でもだいぶ前から輸入・販売されている。主な工場は中国やミャンマーにあり、地元の雇用の重要な部分を担っている。
※スマホ(コンピューター・図書館)
地元について、以下のような記事を見つける
再開発の取り組み。
戦前は鉱山で栄えたこの町も70年の年月の中で徐々に人口が減っていきました。特に20年前の鉱山の閉鎖と、私鉄の撤退による人の流れの停滞はこの町の高齢化の原因の一つです。
今この町に再び力と活気を取り戻すため、私達は力を尽くしていきます。

 



工場に足を踏み入れる。

導入の次の日、工場の前で探索者たちは合流します。

 

工場はさびれた町の外、細い舗装されていない道路をずっと進んだ先にあった。山のふもとで、昔使われていたであろう廃虚の残骸のようなものが空き地に散らばっているのも見える。工場自体は比較的新しいようで、否、であるからか、非常に敷地は広い。コンクリートの壁におおわれ、広い門が貴方たちの前に腰を下ろしていた。

 

適当なタイミングで、門を開けてください。

 

門から「ようこそお越しくださいました、わが社自慢の最新鋭の工場をごゆっくりご覧ください」とアナウンスが聞こえ、ゆっくりと開いた。

 

全ての探索者が中に入ったタイミングで、次のような描写を入れる。

 

中に入ると門は固く閉ざされる。それどころか中から鉄扉が現れ門を覆うようにたちふさがった。辺りを見回すと右手にチョコレート色の豪奢な建物が一つ、真っ直ぐ向かった先に二階建ての建物がひとつ、その奥にも背の低い建物があることが分かった。これらは灰色で、いかにも工場といった風情のものだ


工場の探索

建物

 工場はA棟(二階建て)と、B棟(一階建て)とチョコレートの宮殿が見えます。A,Bの建物と中の部屋の詳細については、それぞれの詳細(A棟/ B棟・塔)をご覧ください。

 

 1.チョコレートの宮殿

B棟からさらに奥へ進むためのガラスの鍵がある。一定時間後に建物が崩れる。

※ガラスの鍵がなくても進めます。

 

2.A棟

A棟の入り口は鍵がかかっていない。二階建てで、エレベーターにはめるキューブを手に入れるためのものや、その他探索の手助けになるものなどが手に入る。

 

3.B棟

入り口には鍵がかかっており、窓には鉄格子がはめられている。ガラスの扉を通って、異空間に存在する塔に進むことが出来る。P,U,Tのキューブが手に入る。これがないとシナリオクリアできない。風間が倒れている。

 

4.塔(エレベーター)

B棟くるみ割りの部屋からのみ入ることが出来る。魔術師の部屋あり、彼を倒して最後のキューブを手に入れると外に出られる。

チョコレートの宮殿

入り口に看板があり、そこには「わが社の英知を結集したチョコレートの宮殿、どうぞお入りください」と書かれている。

中に入ると

とてつもなく広く、宮殿の中は暖房か何かで温められている。調べるには丸一日かかりそうだ。目の前には広い空間が広がっているが、その中央にポツンと、チョコレートで作られたであろう化粧台、棚、イス、机がある。

*聞き耳(全員)*

外よりも甘ったるい匂いが増している。予想以上に砂糖の成分が多いようだ。

 

熱で宮殿が溶けるため、ここでは全員三回ずつしか技能を使うことができない。また、行為判定のたび以下の描写を行う。

1回目:足元がべたついてきたように感じる。

2回目:床が柔らかいことに気付く。

3回目:宮殿が溶け始めた。このままでは生き埋めになる。(脱出をDEX*5で判定)

[失敗]継ぎ目が溶けて落下したチョコレートの塊にぶつかる(HP-1d3) 

3回目の行為判定以前の脱出は判定なしで行うことが出来る。

 

化粧台、椅子に目星をしてもチョコレートでできていることしかわからない。

宮殿:目星でどれくらいで溶けるか分かる

棚:メモ「溶けてしまうので早めにお召し上がりください」と書かれたメモを見つける。

[目星]「に」「け」の上に「”」「て」が濃く書かれていることに気付く。

机:目星に成功すると机にガラスの鍵が埋まっていることに気付く。(DEX*5で鍵を取り出す)

 

チョコレートの宮殿を食べると、空腹に関係なくギミック「おいしいおかし」が発生する。

 

部屋

A棟の各部屋の詳細はこちら

【A棟一階の部屋】

受付

 開けているカウンター。地図1が手に入る。

welcome room

 爆弾の部屋。B棟警備室の鍵が手に入る。

応接室

 ブルーマロウティの材料がある。隠し階段へ続く隠し扉がある。

choco-cream room

 天秤がある。みどりの鍵が手に入る。

【A棟二階の部屋】

資料室

 隠し扉の暗証番号のヒントと探索の助けになる本がある。

倉庫

 SANC。凛のメモがある。

powder-cream room

 本棚と引き出し付きの机に

ロッカールーム

 SANC。トラップルーム。

隠し部屋

 男女の石像がある。B棟の鍵が手に入る。

B棟と塔の各部屋の詳細はこちら

【B棟の部屋】

守衛室

 SANC。地図がある。

hair cream room

 ゾンビ部屋。カカオの袋がある。

ガム開発室

 風間がいる。緑の箱(Oのキューブ)がある。

撹拌室

 奇妙な畑(?)。Pのキューブがある。

くるみ割りの部屋

 塔につながるガラスの扉とがある。



クライマックス

A、Bの棟には真相に関する情報やキューブが隠されている。

UとPのキューブをエレベーターに嵌めれば、塔の最上階の魔術師のところに行くことができる。

ガラスのエレベーターが暗闇を通り抜け、四角い部屋についた。そこには、ローブを被った小柄な人影と、奇妙な背格好の人間のようなものがいた。

最上階には魔術師と彼が作り出した異形のボディーガード、西藤谷凛の成れの果てがいるだろう。

風間は体力が少ないので積極的に戦闘には参加しません。PCの背後にかばうことも出来ますが、信頼できるPCに言われたらいうことも聞いてくれるでしょう。

魔術師は歪んだ自己愛からこの怪物を作り出したため、これが倒されるまでは攻撃を受けない限り戦闘に参加せず後ろでなにがしかぶつぶつと呟きながら徘徊している。→ステータスはこちら

西藤谷凛(変化後)

茶色い長髪は痛んでばらばらになっており、よくみると体をつぎはぎにされているようだった。首から下は到底その本人のものとは思えなかった。屈強な腕は2倍程度になっており自然と前かがみに動いている。

→ステータスはこちら


エンディング

【Good end】

<条件>

すべてのキューブを手に入れ、魔術師一味を倒してエレベーターで脱出した。

 

二人が地に倒れ伏すと、魔術師のローブからコロリ、と見覚えのある立方体が現れた。無機質な音を立てて床に落ちたそれには「T」と書かれていた。これが最後のキューブだ、そうあなたたちは悟るだろう。

 

キューブをエレベーターに嵌め、「UP」and「OUT」の状態にすると、エレベーターは乗員を工場の外へ運んでくれる。

 

エレベーターはぐんと昇り外へと向かって飛ぶ。今まで探索した建物やチョコレートの残骸が見えた。さらに、以前は気付かなかった塔から自分たちが出ているのが分かった。

鉄扉は固く閉ざされたままなのがわかる。だが、A棟の一角、隠し部屋のある二階からまばゆい光が溢れた。

隠し部屋のあったそこから漏れた光が、体を温かく包んでいく。エレベーターは速度を緩め、鉄扉の外側から舗装された道路のある場所で着地した。

魔術師は倒された、あの危険な工場もこれきりで取り壊されるだろう。これでこの町にも平和が取り戻された。

 

クリア報酬 SAN+1d4

風間の生還 +1d2

ミ=ゴを退けた +1d2

婚約指輪を見つけて風間に渡す +好きな対人技能1d3

 

 

【Bad end】

<条件>

時間になっても風間がいない、もしくは意識を取り戻していない上で、キューブが集まっていない場合。

 

奇妙な音が聞こえた。礼拝室の方だろうか、それとも塔の上の方から聞こえてきているのだろうか。探索者は厭な予感に身構えるだろう。

気が付いたときは目の前に様々な異形のものが押しかけていた。今まで普通に見えていたリスはギョロついた目をせわしなく動かしながら素早く飛びついてくる。

同じ顔をした奇妙な小人たちは不気味なほど規則正しく身体を動かしながら、探索者たちに組み付き、絡みつき、噛みつくものまでいた。

そして最後に探索者は全ての元凶を目にするだろう。無数の異形に体を戒められ、哀れな犠牲者として己が差し出される相手を。薄褐色の甲殻類のようなそれは、羽ばたき、唸り声を上げながら、探索者の頭に手を伸ばした……。

これから起こることを探索者は誰にも伝えることは出来ないだろう。なぜなら探索者は生きながらにしてその肉体を失うのである。恐ろしく孤独で、そして気が狂いそうなほど長い時を過ごすのだ。雑に作られたこの円筒の中で。果たして自分は腐らずにいられるか、それとも花火のように打ち上げられるのか……。

この工場は、町を蝕み続けるだろう。

【Normal end】

<条件>

風間を助け、意識を保った状態であるが、制限時間内にキューブを集めきれず、エレベーターで脱出できない。

 

風間は重い体を必死に動かしながら探索者に話しかける。

「もう、時間がない」

探索者の不思議そうな顔を見て彼は更に詰め寄った。

「そろそろ、あいつが来るんだ。そうすれば……あの男は、小人たちを使って俺たちを、生贄に差し出すに違いない」

あいつとは何のことだろうか、と探索者は疑問に思うが、戸惑う探索者たちを風間は必死に説得しようとする。その動きには明らかに焦りが見て取れた。

「化け物が、来るんだ。いつも夜が更けてからくるんだ。そうしたらひとたまりもない。いつもそうなんだ……いくらお前たちが居ても、あの小人たちに襲われたら、多勢に無勢だ」

風間は探索者たち一人ひとりに順番に視線を合わせると、右手に合わせて言葉を区切りながら続けた。

「俺は、長い間、ここから逃げ出す、準備をしていた…。全員、ガラスの扉の、破片を持って、外に出てくれ」

 

全員がガラスの扉の破片を手に外に出ると、風間は手に鈴を取り出して言います。

「この鈴を、隠し部屋の石像に握らせると、ガラスを持っているものは……全員無事に外に出られる」

意を決したように鈴を握りしめた風間の喉がごくりと鳴ります。

「ありがとう、助けてくれて……本当に、感謝している。もし生きて戻れたら…覚えておいてくれたら、嬉しい。俺、風間光と…婚約者の、西藤谷凛を」

そういうと風間は探索者たちを残して石像のある隠し部屋に向かおうとします。

 

とめることは出来ますが、誰かが行かなければ脱出することはできません。説得に成功すると、彼の身代わりになることが出来ます。

※身代わりになった場合の描写

石像の間で男女の石像に鈴を持たせると言いようのない虚脱感に襲われる。身体から何かが流れ出していくような感覚だ。意識を失う間際、石像がピカリと光るのが見えた。暖かい光が自分を包み込んでいくのが分かる。その光から探索者は大きな愛と悲しみを感じた。やがてすべてが真黒に染まり、自分という存在が溶けて消えていく。

石像を起動させ、探索者ロスト。

※残った探索者たちの描写

A棟二階の一角からまばゆい光が溢れだした。思わず探索者たちが目を細めると、光の当たった工場のあらゆる場所から悲鳴が上がった。形容しがたい異形の声が耳をつんざく。(SANC0/1d2)あたたかい光は探索者たちの素まで届き、やがて皆追われるように工場の出口の方へ走っていた。石像の部屋に向かった風間(探索者)がそうさせているようにも感じた。目指す先、門は開かれた。探索者たちが外へ出て振り返ると、工場は着た時のまま静かに佇んでいる。ただ、あの不気味な雰囲気はどこかへ行ってしまったようだった。代わりに、あのあたたかい光がその工場を包んでいるように見えた。もうこの工場は取り壊されるだろう。犠牲になった者の魂を包んで。

 

クリア報酬 SAN+1d3

風間の生還 +1d2

ミ=ゴを退けた +1

婚約指輪を見つけて風間に渡す 対人技能+1